カオルの不定期日記



人間の証明詩人 2010年06月26日(土)

  2010 6/26 ( sat ) 18:00pm
今年も半分終わるな


松田優作が出演している「人間の証明」という映画がある。
できるだけ多くのヒトに、特に若いヒトに観てもらいたい。
(はじめて自然に「、」が打てたぞ!!)
オレは近所のTUTAYAで借りた。
もし可能があればそのDVDが欲しい。
二文字で言えば「くれ」だ。切望してんだ。せつぼー。

さて。

この映画のコトを「カオルの実体験」と
レンタルDVDの「劇場パンフレットの文章」を元に書く。

昭和52年。
1977年に「人間の証明」は劇場公開された。
カオルは中学1年生。13歳。
大好きな松田優作が出ているから
「太陽に吠えろみたいな刑事物」と思い込んで観にいった。
刑事も殺人事件もあるのだけれど「謎解き映画」じゃなかった。
オレは終演後すぐにジョー山中さんが唄うエンディングテーマを買った。
不確かな記憶ではドーナツ盤で500円だったと想う。
西条八十の詩集は実家にあった。
(ジョー山中さんは冒頭に出てくるジョニーヘイワードを演じています)

それから30年以上過ぎて観直してすぐに繰り返し観て
オレは「自分の原体験」をその映画に発見してしまった。
帽子/詩/タバコ/ロック
「ハーレム」というコトバをこの映画で知った。

角川文庫の角川春樹さんがこの時代に「商業映画」を仕掛けた。
よくも悪くもそれは商業的に大成功した。
原作はベストセラーになりキャッチコピーの
「読んでから観るか。観てから読むか」が印象的だった。
まあ角川文庫も角川映画もよろしくねってことだ。

それまで日本映画は「黒澤明の映画」をのぞけば
日活ロマンポルノやヒーロー怪獣映画でほとんどがインディーズだった。
「人間の証明」はなにもかもが違った。
まず制作費が当時の金額で1億円だ。
(ポルノ映画の予算は数十万円)
セブンスターが120円の時代。
家庭用ビデオテープもウォークマンもなかった。
ゲームセンターが24時間営業。インベーダーゲーム!
家には黒い電話機が1台。電話がない家もあった。
そんな時代に「角川映画」は後の「バブル時代」を予見するかのように登場。

さて。
どうしてオレは今頃この映画をまた観ようとしたのだろうか。
先日「DIG WEDNESDAY詩人」を書いた。
マリさんには誉めてもらえたしファンレターも頂いた。
でも個人的には「もっとタイトにルーズに書けないか」と満足はしていない。
マネーとパワー/カネと権力/愛と心をずっと考えていた。
渋谷から帰る東横線の中で漫画「鉄コン筋クリート」を読んでいた。
やっぱこの漫画はサイコーだね。
自由が丘の辺りで読み終えた。
そのとき突然アタマの中にジョー山中さんの唄が。
なんの脈絡もなくエンドロールのようにメロディーが流れたんだ。
「mama do you remember?」
ああ。
なんだっけ?
これ。
オレの大好きな唄だ。
聴きたいな。
ママードユリメンバー ジオールドストローハット ユーギヴントゥミー
口ずさみながらTUTAYAへ。

オレはいま4回目を観ながら書いている。

この映画の舞台は戦後30年頃の(1975年頃)東京とニューヨーク。
そして終戦直後の横須賀とアメリカ兵。
冒頭のファッションショーは山本寛斎の実際のショーと
映画のいまでいうコラボレーションだそうだ。共同作業。
名優たち。ファンキーでロックな音楽。

それから33年。
本当に「時代は変わったんだな」と想う。
景色も価値観も愛のカタチも音楽も。
そしてオレは「この時代の方がオレには合っているな。
いまの時代はややこしいな」と痛切に感じた。
「祭りのあと」の「変わらない場所」ってこれだよなと。

劇場パンフレットには監督の佐藤純繭さんがこう語っている。
「人間の限りない愛とやさしさに推理とサスペンスをまじえて
 ドラマティックに描いてみたい」
オレは「その通りの作品になった」と想っている。
日本人。アングロサクソン(白人)。黒人。そして戦争。

うむ。

あなたが。
真剣に。
集中してみれば。
精神的な病の出口の方向ぐらいは見えると想う。
あなたは。
自分が不幸だと思い込んでいるかもしれない。
「人間の証明」を観ながら自分の状況を置き換えてみて欲しい。
例えばこの映画の「回想シーンで米兵に小便をかけられる男性の生涯」と
ジョニーヘイワードや「海辺で海藻を拾うばあちゃん」と置き換えて欲しい。
(オレはここのシーンがいちばん好きなんだ。
 海辺の老婆と松田優作。タバコ。タイミングが凄い)

やはり映画を語るもんじゃないな。
「百聞は一見にしかず」だ。

ジョー山中さんのエンディングテーマは少し歪んでいる。
声が強いので少し歪んでいる。
現代は「デジタル」で「そういう汚れ/毒」を排除している。
この音楽の「質感」を体感して欲しい。
この時代のカネと権力と愛と価値観。
必要以上に消毒をしてはダメなんだ。

(TUTAYAの名誉会員とかになれないかネ)

http://ja.wikipedia.org/wiki/人間の証明
 


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