カオルの不定期日記



5人の歌詞詩人 2009年10月11日(日)

  2009 11/11 0:10am
レインがまだ見張りをしているから窓を閉められなくて寒い。


ブイーン。

オレが「歌詞を書くこと」に
もっとも影響をうけたシンガーソングライターは5人。

井上陽水。
桑田圭祐。
佐野元春。
忌野清志郎。
TENSAWのセーボー。

オレが勝手にその5人から学んだのは
「内容がいいのは当然ですべてはリズムである」ということだ。
唄い方のリズムもそうだし「コトバのビート」かな。
作詞作曲をするバンドマンたちは経験があると思うが
「なんで仮唄のデタラメ英語ではカッコよかったのに
 ニホンゴの歌詞にしたらカッコ悪くなったのだろうか?」

これは単純に「英語と日本語の特性の違い」が大きい。
例えば。
「ドレミ」という3つの音符に対して
ニホンゴは「き み と」や「も し も」となる。
しかし英語だと「I Love you」や「close your eyes」になる。
日本語には「子音で終わるコトバ」が非常に少ない。
英語は多い。
「ドーレーミー」を上記のコトバのせて唄えばすぐわかる。
英語の方がビートがあるし情報量も多い。
ニホンゴは「ひとつの音符にひとつの文字しか基本的にのらない。

この「母音と子音の壁」に挑んだのは桑田さんだ。
彼の歌詞は聞き取りにくいというヒトもいるが
桑田さんは「リズム 英語のビート」を意識している。
「you may not」みたいなカンジで「有名な」と工夫をしている。
それ以外にも「ひとつの音符にふたつ以上のる文字」を選んでいる。
「しょう が ない」とか。発音は「show the night」というカンジ。
「シュラバナバ ジャスト フォー ユー」と聴こえる名曲も
歌詞カードには「修羅場 穴場 女子 浮遊」」と書いてある。
ちょっと危険で魅惑的なディスコのイメージだ。
そんな工夫が随所にみられる。
いわゆる「歌詞カード」を読んでも「ふーん」というカンジの曲も
「唄うのを聴くと納得」だ。
そう。「歌詞」は読むものではなくて聴くものだから。
個人的にはぜんぶ「1冊の週刊誌から着想を得た」という
「孤独の太陽」というソロアルバムが好きだ。
1曲目の「漫画ドリーム」でオレの言ってることがわかると想う。


陽水さんは「メロディーと同時に生まれたコトバ」を大切にするらしい。
「銀座へ〜」がクチとメロディーにハマったら
なにがなんでも「銀座ヘ〜」しかないそうだ。
陽水さんは本当に「コトバを美しく組み合わせる天才」だ。
「カブトムシ壊れた」という「コドモの視線」にショックを受けた。
コドモは「殺してしまった」というより「壊れた」と想う。
「傷つくほど愛したりしないから」「金属のメタルで」
「わたしは泣いたことがない」など数文字で殺すやり方。
オレは「もう詩なんか書けない。コトバなんてもうない」と
作詞家時代によく困り果てていたのだけれど
陽水さんの曲を聴くと「まだこんなフレーズがあるんだ」と何度も驚いた。
「九段」というアルバムの「ビルの最上階」をぜひ聴いて欲しい。
自分が詩人と名乗ることが恥ずかしくなる。


清志郎さんは「韻を踏む」のが素晴らしい。
デイドリームビリバーの「そんで彼女はクイーン」にはまいった。
誰かに訊いた話だけれど「どう唄ったらその歌詞がいちばん聴こえやすいか」を
いろんな唄い方をして「ピッタリのリズム」を徹底的に探すらしい。
清志郎さんは過激な歌詞が多い。(オレは過激だとは想わないが)
オレは勝手に「歌詞を唄うことの覚悟」を学んだ。
また過激な印象が強いけれど繊細な歌詞も多い。
ただ清志郎さんはあまりにも個性が強いので
普通の人が唄うと「ありゃ?」になったりする。
カバーをするには勇気がいる。


佐野元春さんのライブを18歳の時に観た。
「情けない週末」という曲を聴いて
「サビがぜんぶ単語だけで構成されている」ことに驚いた。
佐野さんは「アレンギンズバーグなどビート系詩人」に影響を受け
実験的な作品も多いけれどとにかく「単語の選択」が斬新だった。
ポップで新しくて儚いわくわくするコトバを選ぶ。
個人的には「カフェボヘミア」というアルバムが好きだ。
素敵な詩人だと想う。


TENSAWのセーボーはすべてに影響を受けた。
彼を見てロックをはじめたといっても過言ではない。
最近再結成したらしいがまだ観に行ってない。
セーボーはリズムが抜群だった。
何を唄ってるのかなんか桑田さん以上にわからない。
でもたまに爆音の中から聴こえる「単語」が
不良少年を煽り立てるようなロックなコトバで
オレがいまのガキだったら「マジヤバい」を1000回ぐらい言ってただろう。
これは不確かな記憶だけれど(無論「不確かなメロディー」をもじりました)
清志郎さんがラジオで
「ヨコハマでカッコいいバンドといったらTENSAWだろ」と喋っていたような。


歌詞を書くのは本当に難しい。
「詩」を書くよりずっと難しい。

オレは基本的に「メロディー先行型」で
詩にメロディーをつけることはほとんどない。
理由はある。
ふたつの曲がある。
ひとつは「メロディーはいいけど 詩がイマイチ」。
もうひとつは「詩は素晴らしいけど メロディーがよくない」
このどちらかを買わなければならないとしたら
オレは迷わずに「メロディーがいい方」を選ぶ。
わかりやすく言ってしまえば「洋楽」だ。
英語の苦手なオレには歌詞はわからない。

だからこそ「歌詞」は重要なんだ。

また毎週。
 


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