カオルの不定期日記



引っ越し詩人 2009年06月15日(月)

  2009 6/15 (mon) 19:00pm
雨が振ったりやんだり。

実は6月のはじめから実家を出てアパートを借りた。

しっかりした社会的にも信用がある弟が
実家の敷地内に家を新築することになった。
同じ中学と高校を出たのに雲泥だ。

その工事が7月から年内続く。
オレの部屋の真下の書庫の部分を壊す。
オレの部屋には壁に数カ所ひびが入っている。
築40年近い床はパチンコ玉が転がる。
レインはその自動で動くのが気に入っているが
工事のひといわく「工事の振動で部屋が損壊することはないでしょうが
どこかに影響が出る可能性が高い」と言われた。
また精神科医には「その工事の音にあなたが耐えられるとは思えない。
 猫もたぶん落ち着かないのでは」

そんで区役所などを周り利用できる制度は使って
金をかき集めて不動産屋に「ペット内緒で」を
お願いしてなんとか部屋を借りた。
実家から1000歩ぐらいのところにある。
ちゃんと数えた。
中のリフォームはわりと綺麗だった。
「ザ・昭和」というカンジがけっこう気に入っている。
家賃は4万円台だ。

しかし「ないもの」が多い。
網戸もないしエアコンもない。テレビの線もないし風呂もない。
換気扇のあたりに「板で仮止め」してあった。
オレは「次の入居者が決まるまでの雨風防止」だと思って板を外したら
換気扇はなく正方形の穴があき夜空がよくみえた。
虫も雨もウエルカム状態だ。
それじゃあ困るのでいまはとりあえずタオルを画鋲でとめてある。

引っ越しはひとりで何往復もしながらやった。
網戸のサイズを測ると偶然オレの部屋と近い数値だったので
気合いで入れたらなんとか収まった。

次はレインのベランダ作り。
ベランダと言っても窓から15cmぐらいの柵があるだけ。
そこに拾って来た廃材を敷いて針金とカラス除けのネットで工夫した。

粗大ゴミの日を狙ってうろついて
台所の水切りとか小さなタンスやカラーボックスを集めた。
ガスコンロは前のヒトが残していったのがある。
布団などはレインのニオイがついたヤツを持って行った。
電球は裸電球。
夜は明るすぎるのでロウソクをともしている。

レインの使ってた砂やご飯茶碗なども用意して
10日ぐらいかけてやっと「レインを迎える準備」ができた。
カゴにレインの好きなオモチャやマタタビを入れた。
しかし肝心のレインが大暴れして入らない。
3時間かかってやっとカゴに入れた。
カゴのチャックをしたとたんにレインはすごく不安そうな声で泣き出した。
「レイン。我慢してくれ。4年以上住んだあの部屋がいいのはわかってる。
 でもな。しょうがないんだ。大丈夫だ。オレがなるべく側にいるから」

部屋につくとレインは布団の中に潜り込んで出て来ない。
ご飯もあまり食べない。長期戦は覚悟していた。
でも1週間ぐらいたつとご飯も食べてベランダに出たり
床でゴロゴロしたりするようになった。
まだ状況を把握してないみたいだけれど
昨夜とおとといはオレの枕元で前のように眠った。

まだネットに繋げないのでそれまでの間は「実家に出勤」みたいなカンジだ。
朝8時にレインのご飯とトイレ掃除をして
タバコを吸ってアクビしたら実家で作業。
夕方には戻りレインの晩ご飯。

夏に備えて扇風機と小さな冷蔵庫を買った。
部屋のドアには部屋番号とレインの絵を描いたものを張った。
昔の6畳なので広く収納も多いし台所もあるので
ふたりで暮らすには充分な広さだ。

引っ越す時に「なにが必要か?」と選択をするのだけれど意外と少ない。
最初は本棚を持って行くつもりだったけれど
常に手元に置いておきたい本は
辞書と村上春樹とその他数冊の合計20冊ぐらいだった。

服も4分の1ぐらいしか持って行かなかった。
靴はもう少し持って行きたいのだけど
靴箱を工作しなきゃなのでいまはサンダルだけだ。

ミチコママに合鍵を渡してライブの時などのレインの世話を頼んだ。

本当になにもないシンプルすぎる部屋だけれど
風通しがとてもいい。
扇風機はまだ1度しか使ってない。
どこかでオレはこういう生活に憧れていたんだと思う。
分相応。

しかし前以上にカネに困るのは必至だが
追い込まれればなんとかするだろう。

家賃を滞納してもレインのご飯は入手しないと。

なんというか。
レインと希望しかない部屋だ。
「パンドラの箱の逆」だな。

さてと。
そろそろ我が家へ帰る時間だ。
レインが腹を減らして待っている。

つづく?
 


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