カオルの不定期日記



浪漫詩人 2008年12月03日(水)

  2008 12/2 (tue) 23:00pm
世間は寒いというより冷たかった。

「夢」「希望」というコトバはオレにはこっぱずかしい。
ヒトが生きていくためにある意味いちばん重要なコトなのかもしれないが
「夢を叶えよう」「希望を持ちましょう」と言うのはクチビルが恥ずかしい。

オレには「ロマン ロマンス 浪漫」という方がしっくりくる。

なんというか。
21世紀になり「ロマン」というのが激減しているような気がする。
ガキの頃。
トモダチの家でカルピスを飲みながら人生ゲームとかして遊んでる。
プロ野球中継を眺めながらビールを飲んでいたトモダチ父ちゃんが言う。
「おい。オマエら。ちょっとショートホープ4箱買ってきてくれ。
 釣りは駄賃だ。かっぱえびせんでもジャンプでも買えばいい」
オレたちはタバコ屋にダッシュ。
「あら。お使い?ショートホープ4箱でしょ。
 あんた父ちゃんにちょっと吸い過ぎだって言っときな」
少年ジャプを買おうとすると悪友は「すごくエッチそうな本」を発見する。
オレたちはジャンプを我慢してこづかいを貯めて
いつかそのビニールにくるまれた高価な本をゲットして
ふたりで「謎の部分」を解明しようと誓う。

いまは「タスポ 身分証明」とかで上記のカンジの「ロマン」は消滅したし
インターネットで簡単に「謎の部分」を解明できると言うか
「いらねーって言ってんのに先方から送ってくる」ケースも増えた。

嗚呼。

なんか違う。

よし。
オレも来年の4月5日で45歳だ。
「昔の文豪」のようなロマンを考えなくては。

うむ。
やはり「お妾さん」だろう。おめかけさんに妾宅。
念のためウィキペディアで調べたら下記のように。

抜粋。
「妾の存在は、社会的に隠されるものではなく公表されるもので、
 妻も承知しているものである。この点、妻に秘密にする不倫とは大きく違う。
 以前は妾は不道徳なものではなく「男の甲斐性」の象徴として
 是認する日本国内の地域社会も多かった。法的にも明治3年(1870年)に
 制定された「新律綱領」では妻と妾を同等の二親等とすると定められていた」

ふむう。

オレは自宅で小説を書き終える。
「よし。これで締め切りは大丈夫だ。夢子に逢いにいくか」
駅に着いて公衆電話から電話をする。
「オレだよ。うん。今回のはすらすら書けてな。
 急に逢いたくなったから。え?いいよ。散らかってて。
 ん?そうだな。風呂は沸いてると嬉しいな」
駅前のタバコ屋で葉巻を買って
隣の果物屋で鮮やかな水蜜桃を。

「ほら。土産の桃だ。オマエの肌みたいに綺麗だな」
「もう少し早く連絡して頂ければちゃんとお化粧もしたし
 お部屋もかたづけたのに」
「いいんだよ。化粧なんてさ。どうせオレがすぐ落としちゃうし」

てなカンジで口づけをかわし。

悪くない。
というか猛烈にすごくいい。
だけどオレには「現実的にはかなりムリ」だ。
百戦錬磨の軍隊でも破れない頑丈な城壁が。

まず。
マネーだ。
妾宅と夢子が一生遊んで暮らせるだけのマネー。
妾宅はマンションなんかじゃ雰囲気がよくない。
やっぱ縁側・風鈴・獅子脅しがないとな。
3億ぐらいはいるのかな?
それに「オトコの甲斐性」ねーし。

そして。
お妾さんを持つためには「本妻」がいないとダメだ。
オレが最も苦手なジャンルの「結婚」をしないとダメだ。
さらにその本妻が「妾の存在を容認」じゃないとダメだ。
30行にしてカオルは夢をあきらめるのか。

嗚呼。夢子。
「ねえ。今度はどんなお話をお書きになったの?」
乱れた髪を三面鏡で直しながら夢子が訊ねる。
「ああ。夢を見すぎて視力が落ちたオトコの話だよ」
オレは葉巻をプカリと。
「そろそろ水蜜桃が冷えたと想うわ。
 ちょっと用意してきます。お風呂に入りますか?」
「うん。そうする。熱い風呂のあとの冷たい桃は極楽だからな」

あー。
なんだかものすごくカネが欲しくなってきた。
この「夢を叶えるためのカネ」が。
働こうかな。

いや。
こういうのもいい。
「20億円の財産を相続した未亡人」もいい。
部屋にはグランドピアノがあって庭にプールもある。
芝生の手入れは知り合いでいい腕の職人知ってるからよ。
レインも気に入ってくれるだろう。
そうしてワケアリの黒猫たちが訪ねてくるのだろう。
そしていつの間にか近隣の人々に「レインハウス」と呼ばれるのだろう。

よし。
該当者は光速でメールを。
いや。
ダメだ。
「恋文」にしてくれ。

くっふふのくー。
 


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